「一葉の恋」心と表現<第16回>熊澤南水|月刊浅草ウェブ

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近代文学史に輝かしい足跡を残し、僅か24歳で逝った樋口一葉。没後120年の時間(とき)を経ても、今、尚、作品のみずみずしさは、人々の心を捕らえて離さない。

両親は、山梨県塩山の小前百姓の出だったが、志を立てて江戸へ出て働き、南町奉行所配下八丁堀同心の株を買って士族となった。江戸から明治へと移る、正に激動の時代だった。念願の武士にはなったものの、世の中の荒波に揉まれながら、やがて父は東京府の役人として取り立てられ、現在の千代田区内幸町の官舎に住居し、ここで生まれたのが一葉(本名・奈津)だった。明治5年5月2日、それまでの陰暦から陽暦に変わった年でもありました。                        

「一葉・お誕生日公演」、と銘打って、生誕の地内幸町ホールでの、公演が企画されたのは昨年の秋、嘗て私が講師を務めていた、NPO日本朗読文化協会会員の坂本、松島の両名からでした。一葉作品に限って・・・と云うお約束で、それでも3年程度籍を置いた朗読協会でしたが、一葉の名文を中に一緒に学んできた〈同志〉との縁は、協会を去った現在(いま)でも切れることはなく、先生、先生といって親ってくれる可愛い弟子でもある。

その二人が想いを語る。

>次ページ「人の裏と表、光と影を巧みに表現しながら、読者へのメッセージを織り込む」

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