そんな上昇気流の一方で、頭を抱えている問題は、若者を中心とした“新聞離れ”です。この風潮に歯止めをかけねばと発足したのが、「次世代研究所」。研究所といっても堅苦しいものではなく、若手社員を中心とした有志が月一回ほど集まって、読んでもらえる新聞づくりについて話し合う場。井上支局長は、この斬新な研究所の世話人を務めています。
毎月第二日曜日に連載中の「東京新聞にダメ出し会議」は、メンバー自ら街に出て新聞を読んでいない人たちを集め、歯に衣着せぬ意見を交わしてもらう中から新聞の未来を模索してゆこうという、実にユニークな企画。読者目線で親しみが湧き、素直に面白い!次回が楽しみ!と思える内容です。
ネット配信による電子版には、パソコンやスマホで全国・海外どこでも購読可能という大きなメリットがありますが、大写しになった報道写真の臨場感、興味のある記事以外にも自然と目が向くレイアウト、スクラップの楽しみ…等々、紙媒体でしか伝えられない魅力が、新聞には沢山詰まっているのです。トライアルはまだ始まったばかりですが、新聞文化を未来に繋げようという情熱は、必ずや実を結んでゆくことでしょう。
最後に、したまち支局の魅力について伺ってみました。
「それは何といっても、人との距離が近いこと。取材相手も近いし、読者も近い。自分たちの書いた記事にダイレクトに反応が返ってくるというのは、本当に嬉しいことなんです。それに…町の人たちが気軽に立ち寄ってお喋りしていってくれる支局なんて、他にはないよね(笑)!」
人との繋がり、地域との繋がり、土地に根差した伝統、文化。それらを大切に温めつつ、未来に向けてより良い新聞づくりに挑戦し続ける東京新聞 したまち支局に、今後ともどうぞご期待下さい!
(「月刊浅草」編集人 高橋まい子)
追記:浅草を愛し、浅草に愛され、街のみなさんに“さっちゃん”と親しまれた丹治早智子記者は、同年9月にご病気のため、永眠されました。心よりご冥福をお祈り致します。
※掲載写真の無断使用を固く禁じます。