○ハナブサ太郎
新派の英太郎といえばどなたもあの小柄なずんぐり太り気味の、そしてあの花柳、水谷の花やかな芝居に、粋な年増で色どりを添えた、なくてはならない役者、その英太郎を思い出すでしょう。数年前になくなりました。いま新派に新しい英太郎がいます。背も高く好感の持てる近代青年です。余りあちこち芝居を見ていない私は、その人を知らず、今年の春国立小劇場に同業富士松加賀師匠の会があり大喜利に新内出語りで「花井お梅」を演じたのが英太郎、大入りの客席が余りの美しさに酔って「あのひと、女だよ」と賛嘆の声が流れたとの噂が残る。それから縁あって二三度のこのひとと相対した。噂の如くです。化粧して女になったら女以上の魅力であろうと痛感しました。
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