「私を迎え入れてくれた門」浅草はっけん<第3回>|月刊浅草ウェブ

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月刊浅草浅草_アリー・サミュエル

アリー・サミュエル

6年前に初めて浅草に訪れた時、日本に来て間もない私でさえ、すぐに歴史に満ちた場所だということが分かった。当時私は、アメリカから日本に越してきたばかりで、日本で過ごす初めての夏休みに友人と浅草へ訪れたのだった。

到着してすぐ、泊まっていた宿から吾妻橋を歩いて浅草に向かい、まずは雷門の前で足を止めた。これほど日本らしい景色は目新しく、まるで、自分が日本絵画の中に踏み入れたようだった。

人形焼きの匂いに引き寄せられ、次に雷門から仲見世通りを歩き、家族や友人へのお土産を買い込んだ。お昼はお寿司屋さんの大将の掛け声に誘われ、聞いたこともなかった寿司ネタを食べてみた。ガラガラとおみくじが鳴り、お線香が漂う浅草寺に辿り着いたときには、リュックもお腹もいっぱい。

午後は両国にある江戸東京博物館を訪れ、かつての東京の様子を伝える工芸品や美術品に何時間も魅了された。絵画の中の祭りや、花火が夜空を照らす描写に夢中になった。多くの東京人が仲見世通りを埋め尽くし、皆赤いお寺に向かう。初めて訪れた場所の、遠い昔の光景であるはずなのに、どこか親近感を感じた。

その晩、私は友人と吾妻橋近くの川辺に座り、浅草駅周辺のネオンに照らされながらチューハイを飲んだ。当時、私は東京や日本のことをほとんど知らなかった。ひらがなも漢字もわからず、お笑い芸人の名前はおろか、日本食の名前を覚えるのもやっとだった。しかし、浅草で過ごしたこの日、私は「本当に日本に住んでいる」と悟った。江戸東京博物館で見た絵画は、単なる歴史の描写だけではなく、私が歩いた街の記憶だったのだ。

私にとって浅草は、日本を外から見る外国人としてではなく、今もなお生きている歴史を体験した場所だった。ここで思い出を作る日々は、まだまだ終わらないと信じている。


◉プロフィール

月刊浅草アリー・サミュエル

アリー・サミュエル

平成8年生まれ、アメリカのテネシー州出身。大学では史学を専攻し、2018年に卒業。卒業後は茨城県水戸市で英語教師に従業、2023年からは拠点を東京に移す。現在、日本での生活を綴り、外国人向けの日本の文化や歴史について発信するブログ「Tokyo Alleyways」を執筆中。


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