浅草の五月晴れの空に鯉幟を散見することができた。そこで5月の木馬亭では「こい」にまつわる話、カカオポリフェノール、五月病について話した。
落語のマクラに使われる小咄。総武線に小岩という駅がある。この周辺にはお寺が沢山あるがお墓がない。「こいははかない」。河川をきれいにしようということで、棲んでいる魚たちが掃除をすることになった。尾の所に長靴を履くのだが、鯉はそうしなかった。「こいははかない」。てんでに箒を持ってはくのだが鯉はもたない。「こいははかない」。鯉幟は真鯛と緋鯉とどちらが上なのか。どちらが上でもいい。「こいに上下のへだてはない」。プールに真鯉と緋鯉を交互に並べて、よーいドンで競争をさせた。どちらが勝ったか。真鯉が勝った。「こいは苦労(黒)が先に立つ」1匹何十万円もする鯉は決し1匹じゃ泳がない。必ずアベックで泳いでいる。「錦鯉2匹鯉）」。中華料理で鯉のから揚げが出てくる。食べる時はナイフ、フォーク、箸を使わない。皆んなで指でほぐしながら食べる。「こいの手ほどき」。
愛知学院大学と明治製菓の共同研究調査の結果が発表された。蒲郡市の45歳〜69歳の347名（男性123名、女性224名）を対象に1か月間、カカオ成分72％のチョコレートを一定量、毎日食べてもらった。カカオポリフェノールは、脳の栄養分である「脳由来の神経栄養因子」を増加させることがわかっている。結果、血圧の低下がみられた、善玉コレステロール値が上昇した、血管の柔軟性が増加した（動脈硬化のリスクが減少）、体重と肥満度は不変、精神的、肉体的に活動的になった、等が明らかになった。カカオポリフェノールが脳の血流を促進し、抗酸化作用で神経細胞内の酸化ストレスを抑制することも判明した。そこでアルツハイマー型の認知症や「うつ病」の予防に効果があるのではないか、また記憶や学習などの認知機能の向上が期待されるところとなっている。
「五月病」の原因は、4月の新年度にある。新しい会社に就職する、新しい学校へ入学・進学する、人事異動で転勤する、あるいは定年退職で住居が変る等々の環境の変化が、目に見えない圧力となってストレスをひきおこす。ほぼ1か月経って緊張がほぐれた時に、心と体の不調を訴える人が出てくる。これを五月病と称している。
どんな場合でも環境圧は存在するし、誰にでも緊張は断続的に発生する。心身のバランスが崩れるのが五月病で、それを解消する方法がいろいろと考えられている。
健康を保持する基本は食事である。そこで疲労回復のため3度の食事で必ず蛋白質を摂取する。肉、魚、卵などでアミノ酸が多く含まれている。野菜や果物も十分にとる。アミノ酸の吸収を助けるミネラルやビタミンを豊富に含有しているからである。甘い物、カフェイン、アルコールはなるべく控え目に。夜は7時間以上寝る。昼寝をする時は1時間未満とする。自分だけのリラックス・タイムを持つ。習い事など新しい変化は起こさない。太陽の下で、ほどよく心地よく運動をする。飲み会は避け、休日の遠出も控えて、休息を第一とする。以上のことを実行しても、不調が2週間続くようなら、専門医に診てもらう。ＷＨＯ（世界保健機関）はこのほど「世界保健統計の2016年版」を発表した。それによると15年の男女合わせた日本人の平均寿命は83・7歳で、データが得られた国の中で首位を維持した。これで日本は20年以上連続で首位をキープしている。男女別では日本の女性の平均寿命は86・8歳と首位だったが、男性は80・5歳で6位。首位はスイスの81・3歳。
聖路加病院名誉院長の日野原重明先生は104歳でお元気である。不肖筆者は駈け出しの記者の頃から存知あげているが、長生きの秘訣を次のようにおっしゃっている。
①友と交わりをもつこと
②何か新しいことを始めること
③若い人と断絶しないこと
④今日の1日に自分を高める努力をすること
⑤体と頭を十分に使うこと。
つい最近は次のようなお言葉をいただいた。
鳥は飛び方を変えられない
魚は泳ぎ方を変えられない
獣は走り方を変えられない
しかし人間は生き方を変えられる
