痛みについて学会は次のように定義している。「組織の実質的あるいは潜在的な傷害に結びつくか、このような傷害を表す言葉を使って述べられる不快な感覚、情
痛みは三種類に分けられている。
①侵害受容性②神経障害性、③混合性疼痛、①は転んで膝をぶっつけて皮膚がすりむけて血が出たときのような状態をいう。ズキズキと痛む。②は末梢性神経障害と中枢性神経障害とがある。腰から足にかけてビリビリと電気が走るような痛みや、帯状疱疹の発疹は治ったのに下着がすれただけでピリピリ痛い、といった状態をさす。③ は精神心理・社会的要因が共存している疼痛である。
痛みはまた急性と慢性に分けることもできる。厚生労働省の統計では慢性疼痛で悩んでる人は4%、患者数は2700万人と推計されている。このうち神経障害性疼痛が疑われている人は6・4 %、660万人といわれている。
鎮痛剤は3段階に分けられる。第一選択薬は、複数の病態に対して有効性が確認されている薬剤。第二選択薬は、一つの病態に対して有効性が確認されている薬剤。第三選択薬は麻薬性の鎮痛薬で、モルヒネなど。
世界の先進国の中で日本は、モルヒネの使用量が格段に少ないといわれている。医師の中にも習慣性がつくと信じている人が多いからである。がん患者さんの疼痛を取り除くのにはモルヒネが一番よく効くのだが、まずは医師の啓蒙をはからなければならないのが、現状である。
慢性関節リウマチの患者さんの手足の指のこわばりや痛みの原因は、血液中にインターロイキン6 という物質が40ピコグラムもあるからである(健常者は3〜4ピコグラム)。日本医大・千駄木病院の吉野槙一先生は聖書の箴言に「喜びに満ち溢れた心は薬のような働きをする」とあるのを知って、患者さんに笑ってもらおうと考えた。
患者さん30人、健常者30人から血液を採取。落語を一時間聴いてもらった後にも採取して比べたところ、健常者は不変だったが、患者さんはなんと10ピコグラムに低下しているのがわかった。吉野先生の論文には「いまの医術、薬剤でここまで下げる方法はない」とある。こわばり、痛みが緩和した状態が2〜3か月続いた患者さんもいた。まさしく笑いの効用である。
患者さんと医師との会話。医師が患者さんの腹部を押して「痛くないですか?」、患者「いたくないです」、頭をかしげながら少し離れた所を押して「痛くないですか?」、患者「いたくないです」、医師「本当に痛くないんですか?」、患者「ええ先生、この病院にいたくないんです」。
フランス小咄。A「この頃物忘れがひどくなってねえー」、B「いつから?」、A「なんの話だっけ…」
ブラジルの笑話。首都の幹線道路で水道管が破裂して大きな穴があいてしまった。片側だけでの交通となったので大渋滞。運転者は皆イライラしていたが、大穴の側に立てられた看板の文字をみてニ ッコリ。「日本への近道」。
イスラエルの笑話。塩分濃度が高いので生物はいないという「死海」に釣り糸を垂れている老人がいた。旅人が「何が釣れるのか?」と聞くと「砂漠には砂漠の掟があるという」。どんな掟かと聞くと「ただでは教えられない」。なにがしか払うとニッコリして「お前さんで15匹目だ」。
ドイツの笑話。ヒットラーとゲ ッペルスとヘスの3人が湖でボート遊びをしていた。突風でそのボ ートが引っくり返ってしまった。助かったのは誰か?。「助かったのはドイツの国民」。
(松井天遊, 2016年)