「常磐堂雷おこし本舗」江戸時代末期より浅草の歴史とともにある老舗中の老舗!<第25回>まい子のぶらり散歩。

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店長(左)と次長(右)

第25回「常磐堂雷おこし本舗(ときわどうかみなりおこしほんぽ)」

今回は、言わずと知れた浅草一有名なお菓子屋さん「常盤堂雷おこし本舗」雷門本店を訪れ、加藤武良店長、林譲次長(2017年3月時点)にお話を伺いました。一瞬たりとも客足途絶えぬ多忙な中、しばしお仕事の手を休めて頂き、ありがとうございました!
 
常盤堂の創業は、江戸時代末期。約250年前よりこの地に店を構え、浅草の歴史とともに歩んできました。昭和25年「株式会社常盤堂雷おこし本舗」設立。現社長・穂刈久米一さんで3代目となります。現在の本店は、昭和29年に再建されたもの。重厚でありながらどこかモダンな鉄筋和風造の建物は、当時東京の名建築と話題になり、撮影客が後を絶たなかったそうです。
 
おこしは、古来より日本各地で様々な穀類から作られ、親しまれてきた素朴なおやつですが、江戸のおこしは、米を主原料としているのが最大の特徴。貴重な米と砂糖で出来た美味しいお菓子は、浅草寺詣でのお土産としてたちまち評判となり、のちに「家をおこし、名をおこす」縁起物としても広く知られるようになりました。今日では、雷おこしといえば東京銘菓、はたまた日本を代表する銘菓として、海外での人気も定着しつつあります。
 
変わらない良さもあれば、変わってゆく良さもある。常盤堂の雷おこしは、後者。時代とともに変化する人々の嗜好に合わせ改良を重ねることで、永く愛され続けてきました。
「僕が子供の頃のおこしといえば、硬くて、地味で、どうも美味しくなさそうなイメージ(笑)。それが今では、柔らかな口当たりで甘さも控えめ、幅広い方々に受け入れて頂けるようなものとなっています。90代のおばあちゃまから『常盤堂のおこしだけは、柔らかいから食べられるよ。』と言って頂けたり…、そんな時は、本当に幸せな気持ちになれますね。」と、次長の林さん。こんな交流からうまれる生の声を反映しつつ常盤堂は、より喜ばれる雷おこし作りを目指し、日々進化中。商品数は実に50種以上、上磯部など伝統的なおこし各種に加え、外国の方にも大好評の洋風おこしチュララシリーズ、少量・お手頃価格で新感覚の塩おこしシリーズ等々、数多くの人気商品が誕生し、店頭を彩っています。
そして、なんといっても雷門本店の目玉は、手作りおこしの実演販売。土曜・日曜にはエネルギッシュな社長自らが実演室に立ち、腕を振るっているそうです。目の前で作られる出来たてほやほやのおこしの美味しさは、まさに特筆もの。“忘れられない浅草の味”リストに名を連ねること、請け合いですよ。必見・必食!
 
平日でも1日平均3~400人、週末ともなれば1000人を超えるお客様で賑わう、雷門本店。浅草のランドマーク・雷門の顔というブランドゆえのやりがいも、また苦労も、桁違いであろうことは、想像に難くありません。長きに渡りここで浅草の移り変わりを見つめ続け、この春定年を迎える店長の加藤さんは、こんな風に話してくれました。
「浅草では、時の流れが本当に早い。沢山の行事があって、すぐに1年が過ぎて、あ、また正月だ…って(笑)。あっという間の40年でした。私の入社時は店を開けているだけで、どんどん売れるという状態。いい時も悪い時もあったけれど、時代も、街も、人も、全てにおいて変わってゆくものですから。これからの人たちも苦労はすると思うけど、浅草は東京の中でもやはり、格別の寺町。頑張って、盛り上げていって欲しいと思います。」

常盤とは、永久不変を意味する言葉。時代のニーズに応え、味は変遷していっても、この別格の寺町・浅草において常盤堂雷おこし本舗は、雷門に寄り添う常盤木として、永久不変の存在感を放ち続けてゆくのでしょう。

(「月刊浅草」編集人 高橋まい子)

※掲載写真の無断使用を固く禁じます。

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