「田中憲治」シャッターもキャンバス!浅草の街を彩る現代の絵師<第2回>まい子のぶらり散歩|月刊浅草ウェブ

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田中さんの代表的な仕事の一つ、シャッター画との出逢いは、20数年前。
それまでは修行時代に培った地図製作やレタリングの技術を活かした精密な仕事を中心にしてきましたが、それだけではなんとなく物足りないな、と感じ始めていた時期でした。季節・昼夜を問わぬ野外での製作は大変厳しいものですが、大空の下でのびのびと描けるシャッター画の世界に魅かれ、思いがけずのめり込んでゆきます。
 
特に思い出深い作品は、約300mの参道に軒を連ねる奥山おまいりまち商店街のシャッター25枚に描いた歌舞伎絵の連作。製作期間は丸2年に及びました。真夏の暑さの中、伝法院の池から湧く藪蚊と闘い、真冬の深夜、浅草寺の杜から顔を出す狸に励まされ、浅草の春夏秋冬を肌で感じながら描き上げた渾身の大作は、参道に艶やかな花を咲かせ、今や奥山のシンボルとして広く愛され、親しまれています。
「シャッター画は、あくまでも消耗品。描いてる時だけ一生懸命!時期が来れば、消えてなくなる。滅びの美学だね。その儚さが私、好きなんだな。」
凛としたお人柄が、その一言にギュッと凝縮されている気がしました。

若い頃にはけっこう無茶もしてきたから引き出しの中にはまだまだ面白いネタをいっぱい持ってるよ、といたずらっぽく笑います。日暮里、銀座と仕事場を転々と移した時代もありましたが、最終的に戻りたくなったのは、やっぱり大好きな浅草。
「私にとってはね、浅草の、風の抜け方がちょうどいいの。最高の人間関係があって、四季折々の美しさがあって。その素晴らしさを再認識するために、あえて他の街の匂いを嗅ぎにいったりもするけどね(笑)。これからもこの街で、大切な仲間と出逢いに感謝しながら、無理はせず、本当に好きな仕事・好きなことを楽しみながらをじっくりやってゆきたいですね。」 

浅草の中で好きな場所は?との質問に、どこも好き、嫌いな所もないし、嫌いな人もいない、と即答してくれた田中さん。ダンディーな現代の絵師さんは、これからも魔法の絵筆で浅草中を彩り、沢山の笑顔をくれることでしょう。もちろん『つれづれの記』も、末永くよろしくお願いいたします!

田中憲治 デザイン事務所「レタスト」http://www.letterst.jp/profile/index.html

(「月刊浅草」編集人 高橋まい子)

※掲載写真の無断使用を固く禁じます。

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