「募る想い」心と表現<第9回>熊澤南水|月刊浅草ウェブ

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史上最多の205国と地域が参加して開会されたリオ・五輪、南米大陸では初の開催であり、コソボ、南スーダンが初参加するほか、難民問題の深刻化を受けた、〝難民選手団〟が初めて結成されたのも忘れてはならない。
日本時間2016年8月6日午前8時、ギリシャを先頭に入場行進が始まり、21日まで28競技306種類で熱戦が繰り広げられるのである。
この日は︑云うまでもなく広島に原爆投下から、71年目の朝を迎えていた。平和の鐘が鳴り響き、核兵器廃絶を訴える、平和宣言が読みあげられていた。
その裏側では︑正に華やかにオリンピックの幕が上がろうとしている。しかしながら開幕に至るまで、これ程多くの問題を抱えた開催地も、これまでなかったのではないだろうか。
現職の大統領が弾劾され、政治は泥沼状態、加えて最悪の経済不況に陥っていると云う。治安は悪化の一途をたどり、極め付けがジカ熱の恐怖と来れば、何をか言わんやである。それでも、開幕にこぎつけた。
困難を乗り越えて開催された、南米初のオリンピックが、人々の心の中に刻んだ想い、平和への願いは、地球の裏と表で貫かれたのである。

>次ページ「〝よし!、この子達に恥ずかしくない背中を見せよう!」

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