「奥武山・大琉球神楽」心と表現<第7回>熊澤南水|月刊浅草ウェブ

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沖縄県那覇市奥武山公園の東部に、琉球八社のひとつ、沖宮と云う神社がある。
琉球王国時代の名残りで、神仏習合を旨とし、沖宮も臨海寺を併置している。
沖縄には独特の宗教感があって、寺社は本土のように檀家、氏子の制度を持っていないと云う事である。
明治政府の宗教政策は、在来の宗教を弾圧する事で、新生日本の国家理念の下に作られた、日本宗教に移行させ、それを通して琉球人を、日本国家及び大和の精神に統一することを考えていた。
しかし、王国時代に王府から正規の神祇として認められていたのは、御嶽、火神の殿などで、その信仰は新しい世になったとは云え、容易に変えられるものではなく、平成の現在も根強く残っているようである。ノロやユタと呼ばれる女性の司祭者が各部落に居り、人々は折りに触れては彼女の許を訪れ、指示を仰ぐらしい。
平成22年に企画し動き出している、私の「百寺語り巡礼」は、百寺……と銘打ってはいるが、お寺ばかりではなく教会も神社も同じ位置付けで考え、これまでにも長崎の「大浦諏訪神社」、市川の「聖望キリスト教会」等でも公演しており〝祈りの場百ヶ所〞と、私自身は思っている。
26年間も通い続けている沖縄の地で、何処か私のこの意図を汲み取ってくれる場はないだろうか、と知人に相談したところ、奥武山の沖宮を招介されたのである。巨人軍がキャンプ入りをすると、必ずここ沖宮で必勝祈願に立ち寄り、今年も高橋由伸新監督以下決意を新たにした場でもある。
禰宜の上地氏は、お忙しい身にも関わらず、気軽に逢って下さり、私の話に耳を傾けて下さったのである。
〝解りました。ご覧のように当神社は寺も併置しておりますので、ご期待に添えるよう考えてみましょう〞
これが、2年前の1月末の事だった。

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