「劇場の裏側ツアー・浅草演芸ホール編」フランス座時代の痕跡を見つけに!<第37回>浅草六区芸能伝|月刊浅草ウェブ

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今回は、沢山の写真を掲載していますが、背後より撮影した動画から切り出したものですので、我々の後ろ姿が多く映り込んでいることは、ご容赦ください(笑)。

まずは、舞台からまいりましょう。
今回特にお話したかったのは、『廻り舞台』について。廻り舞台とは、舞台中央の床に大きな円形部を作り、その部分を回転させることにより、素早く場面転換させる装置。
例えば、円の直径を舞台に並行して貫く壁板の表側と裏側に、それぞれ異なる背景を描いておけば、緞帳を下ろさずともあっという間に違う場面へ飛べるというわけです。 
この装置には、電動と手動がありますが、フランス座では、あえて手動の方を選んで設置しました。わざわざ地下へ走って回転させる者は大変ですが(笑)、電動だと始終故障したり、メンテナンスが欠かせませんし、何より手動のほうが、スピード等の微調整が利きますからね。基本的には男性二人で廻していましたが、見た目ほど重いものではなく、一人でもなんとか廻せる程度です。

【廻り舞台の痕跡①…舞台側から襖を開けてみると、目の前に回り舞台用の壁板が…。】
【廻り舞台の痕跡②…襖の裏側から見たところ。壁板の両面に背景を貼って使用しました。】
【廻り舞台の痕跡③…半分敷物に隠れて分かりづらいですが、矢印の部分の内側の床が大きな円形に切り抜かれていて、廻ります。】

さて、お次は舞台袖。
下手側奥にあるこの仕掛けは、綱元といい、緞帳や釣り道具などをここで手動で上下させていました。少し手前に
進行部屋という一角(部屋といっても仕切りはなく、ただの暗がりですが、笑)があり、進行係はここに待機しなら、臨機応変に綱元の仕事をしたり、地下へ走って舞台を廻したり、照明係などの裏方さんにキッカケを出したり、楽屋
へ演者を呼びに行ったり…息つくまもなくひたすら働き続けます。あまりの慌ただしさに、時々引っ張る釣り道具を間違えたり、舞台転換のタイミングをしくじったりすると、お客さんはもう、大喜び(笑)!舞台上のコメディアンたちはそれをネタに、さらなる笑いを誘い、会場一体となってハチャメチャに楽しむというわけです…これぞ、浅草の真骨頂!
ちなみに進行係は、古くは文芸部員の井上ひさしから、修業時代の北野武まで、歴代出世株が脈々とこなしてきた、フランス座の名誉職?であります(笑)。

【綱元(つなもと)…綱を操るタイミングが舞台に大きく影響するので、責任重大な仕事です。】

今度は、地下へ下りてみましょう。
地下には、先ほどの廻り舞台を操作する仕掛けがあったり、宣伝部が作った看板等が一部保管されていたり…少々カオスですが(笑)、一つ、大変珍しいものが残っています。
それは、踊り子や役者達が使う、共同浴場。共同といっても、ちゃんと男湯・女湯に分かれています。演者達は早くドーランを落とさないと肌が荒れてしまいますし、湯を汚すので一般の銭湯にも行きづらい。ですから、浴場の設置は必須でした。
フランス座に通い詰めていた文豪・永井荷風も入っていたという、なかなか貴重なお風呂。ただし、荷風先生が入っていたのは、女湯のほう(笑)!”私は人畜無害だから”と、贔屓の踊り子たちと一緒に湯を使っては何気ないお喋りをするのが、至福のリラックスタイムだったようです。

【楽屋風呂…永井荷風先生にも愛された、伝説の女湯(笑)の扉。】

さてさて、普段なかなか観る機会のない、劇場の裏側にひっそりと残る歴史の痕跡、いかがだったでしょうか?
次回は、上階の東洋館まで足を延ばし、さらに面白いものを探してみましょう…!

(同行取材:編集人・高橋まい子)

※掲載写真の無断使用を固く禁じます。

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浅草演芸ホール

【浅草演芸ホール】浅草唯一の落語定席 明治17年から続く浅草笑いの伝統!

浅草演芸ホールは、鈴本演芸場(上野)、新宿末廣亭、池袋演芸場とならぶ、東京の「落語定席」のひとつです。
「落語定席」とは、1年365日、休まずいつでも落語の公演を行っている劇場のことで「寄席(よせ)」とも呼びます。
昭和39(1964)年のオープン以来、10 日替わりで落語協会と落語芸術協会が交互に公演を行っています。
落語のほかにも、漫才、漫談、コント、マジック、紙切り、曲芸、ものまねなど、バラエティーに富んだ番組をご用意しています。
昼の部と夜の部は、原則として入替えがありませんので、お好きな時間においでになって、心ゆくまで「演芸」をお楽しみいただけます。
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