東洋興業会長(浅草フランス座演芸場東洋館)松倉久幸さんの浅草六区芸能伝<第32回>「浅草活弁祭り(あさくさかつべんまつり)」
2020年10月23・24日、東洋館にて「2020 あそう子八咫・八咫の浅草!浅草活弁祭り」が開催されました。時節柄、多くの芸能が自粛を余儀なくされる中、万全を期して公演を決行した勇気には、拍手を送りたいと思います。
当日は、東洋館側とあそう活弁側がそれぞれにウイルス対策スタッフを配置、二重のガードを施しての開催となりましたので、実際のところ、麻生父娘は稽古と同じくらいそちらの準備に時間を割き、眠る間もなかったのではないでしょうか(笑)。我々としても、本当に有難いことです。
浅草フランス座演芸場東洋館は、私の父が支配人を務めていた三友館という日本でも有数の映画館の跡地に建てられました。いわばここは〈映画の聖地・浅草〉の面影を残す、最後の砦。映画文化と共に発展した日本独自の話芸・活弁を現代に繋ぐ麻生父娘が今回の公演に際し、東洋館での開催に強くこだわったのは、こうした背景によるものです。
そんな訳で今回は、「浅草活弁祭り」のレポートとともに、浅草映画文化の灯を未来へ向け再燃させてゆく可能性、展望について考えてみたいと思います。
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