快適で楽しい空間づくりを目指して100年目〜藤田建装〜こやたの見たり聞いたり<第33回>月刊浅草ウェブ

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雷門をくぐって仲見世通りを歩いていくと、まるで時代劇の撮影セットのような江戸の街並みが再現されている通りがある。

仲見世通りから浅草六区へ抜けられる道「伝法院通り」である。

江戸時代は文字を読めない人が多かったから、看板には絵文字が描かれていたり、江戸の盗賊・白波五人男が隠れていたり、と遊び心も満載だ。
この町並みの施工をしたのが、今回ご紹介する株式会社である。企画・デザインは、藤田建装のグループ会社エフ・デザインが行った。

浅草伝法院通り

藤田建装は、1924年(大正13年)9月に浅草合羽橋に「藤田専門店」として創立し、今年ちょうど100周年を迎える。
創業者は、藤田秀蔵。はじまりは、人形のショーケースを製造販売する小さな会社だった。関東大震災で大きな被害があった翌年だったから、合羽橋通りには復興をめざした飲食関連の商店が次々と軒を連ねた時代である。

その後、甥の公一が会社を引き継ぐものの、太平洋戦争が勃発し、徴兵に駆り出されて休業を余儀なくされたり、東京大空襲によって、合羽橋道具街が焼け野原となったりと苦難が続いた。
しかし、公一は浅草の人々と支え合いながら再び立ち上がり、現在本社がある西浅草一丁目で営業を再開した。

この藤田公一の長男として生まれたのが、現会長の藤田和弘である。
大学卒業後、当時急成長中だった丸正食品に住み込みで修行に行き、商売の何たるかを学んだ。ある時、知り合いの仲買人に頼まれてトラックいっぱいのトマト2000箱を買わされてしまったことがあったが、和弘は1日ですべて売り切ったという。
人と人との信頼関係の大切さを誰よりも知っている人物だ。一つ一つの仕事と真摯に向き合い、信頼を築いていく中で、丸正食品の2代目社長は「(店舗改装を)全部、藤田に頼め!」と大号令を出してくれた。

その後、1990年代後半にコンビニが急増し、「am/pm」が都内で店舗拡大をした時、その内装施工を藤田建装が一手に請け負うことになった。
多い年で年間150店舗の「am/pm」を施工したという。この経験によって、短納期で量産するという施工体制を確立し、信頼を得て、全国規模の大手飲食チェーンから次々と依頼が来るようになった。これまで藤田建装が手がけてきた商業空間は、2万件以上に上る。

 現社長の藤田一之は、藤田和弘会長の長男で2019年に藤田建装の社長に就任した。
小さい頃から身の回りに職人たちがいて、小学生の頃にはすでに荷物運びなどのお手伝いをしていた。漠然と「自分はいつか藤田建装を継ぐのだろう」と思っていたのと、「国語や英語が苦手だから」という理由で理系を選択し、大学では建築を選考してハウスメーカーに就職したが、ふと「世界を見てみたい!」と思い立って、旅に出てしまった。

スペインのグラナダをはじめヨーロッパ各地と南米を旅しながら、英語やスペイン語を身につけ、世界の建築や絵画、文化を見て回った。
これは、結果的に大きな財産となった。もちろん、海外生活は楽しいことばかりではない。危険だなと思うこともあったが、世界に飛び出て、さまざまな経験をしたおかげで、「死ぬことさえなければ大丈夫!」という胆力が身についた。

その後、藤田建装の中国工場で10年ほど勤務することになるが、持ち前の適応力と根性で中国語もすっかりマスターし、日本企業だけでなく中国企業からも信頼され、規模を拡大してきた。

創業100年を迎えたことについて聞いてみると、『創業100周年』は一つの節目ではあるけれど、これまでと同様に、一年一年が大切だと考えています。これからも社員と一緒に、お客さまが喜んでくれて、社員も喜ぶような会社を築いていきたいです」とまっすぐに語ってくれた。
来年の大河ドラマでは、吉原を舞台にしたの波乱万丈物語「べらぼう」が公開予定だが、それに伴って台東区民会館に「大河ドラマ館」が誕生する予定だ。

藤田建装の腕が鳴る。乞うご期待!

株式会社藤田建装公式サイト:https://fujitakenso.jp/

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