岡本文弥(新内節太夫)の名随筆「気まま黄表紙」<第3回>|月刊浅草ウェブ

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○つらがまえ

笑顔で人に接するというと体裁はいいのですが私のはそんな立派なものではない。誰に逢っても意気地なくニャニヤ笑顔を見せるのです。べつに媚びるわけではないが精神にしっかりしたシンがないから、すぐにだらしなくニャニャと溶けてしまう、不甲斐ないと思っています。ところがー

片岡球子さんという女流画家の大家は、歴史上の人物「面構え」を描き続けて立派に受賞されたりしている。その作品を私は知らないけれど、新春の朝日新聞が「久しく男性の面構えにのみとらわれて」来た女史が今度は「女性を登場させる」ことにしてその第1作が北斎の娘おゑいだと伝えている。「個性の強そうな娘、父の血をひいて浮世絵に秀でて」いたし「生涯父のそばで絵を学び、そして父の世話をした」そして「勝ち気でしっかり者、常に変わることなく自分の道に撤した」女性である。そのおゑいの面構えを第1に選んだ女史の心意気にも同感出来るのですが新聞紙上に発表された色刷りのそれを見ると眉も眦(まなじり)も吊り上がり、凛として男など寄せ付けぬふぜい、それでいていかにも女らしく美しい。暫く唸って見蕩れました。私は今、これを切りぬき額に入れて部屋に飾っています。おゑいの面構えに学びたい。ニャニャと人に接する私でなく、シンのある人間、シャンとした私に生長した証拠としての、そんな面構えを早く持ちたい。

>次ページ「ワイン ぶどう酒というよりワインと言った方がハイカラで現代テキでよろしい。」

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