浅草には、笑いの伝統がある。流行りの言葉でいえば「レジェンド」である。「笑いの殿堂」もある。浅草演芸ホール、東洋館、木馬亭、ゴロゴロ会館。このほかにも大小様々な施設ができている。浅草公会堂では漫才大会が開かれたり、喜劇が上演されたりする。
笑いは人の心を和ませるし、人間関係の潤滑油となる。また快適ホルモンを分泌させるし、免疫力を活性化させるなど健康と深くかかわっていることが、医学的にも実証されている。
その昔(平成6 年)、平成八年八月八日を「ハッハッハッ」の笑いの日にしようとの運動を興した。
いい出したのは現在も健在の国際オリンピック団長の山田直稔さん。
山田さんたちはかなり以前「敬老の日」制定を提唱し、一大運動を展開して成功させたという経験を持っていた。
実行委員(常任理事・事務局)は山田さんをはじめ、神津友好(演芸作家)、萩原津年武(イベント会社社長)、神本貞也(俳優)そして筆者・松井寿一の5名。
役員陣は錚々たる顔触れである。会長加藤芳郎(漫画家)、副会長岩井半四郎(歌舞伎俳優)、河野健比古(電算社長)。なんと岩井さんと河野さんは奇しくも八月八日が誕生日である。理事は次の15名。
小田晋(筑波大学教授)、諸橋楽陽(ノータリークラブ会長)、坂東和之丞(坂東流日舞師範)、塩田丸男(評論家)、松尾通(スマイル・ドクター、歯博)、志茂田景樹(作家)、アグネス・チャン(歌手)、鈴々舎馬風(落語家)、一樋宥利(ジェビコスにじゅうに会長)、古川のぼる(ふくろう博士)、綿貫民輔(衆議院議員)、コロンビア・トップ(第二院クラブ党首)、安藤百福(日清食品会長)、広瀬謙次郎(作家)、広瀬喜代志(笑福クリニック
代表)
「笑いの日を作る会」の目的は次のようである。
1、「笑い」が、私たちの日常の生活と健康にとって、どんなに重要なものであるかを再認識し、その大切さを広く世間に訴えること。
2、「笑いを失った人」に、物心両面から援助の手を差しのべること。
3、平成八年八月八日(ハッハッハッの日)を期して、毎年八月八日を「笑いの日」とし「笑い」の輪を世界中に広めること。
前記の目的を達成するため、次の活動を行います。
1、「笑い」の大切さをテーマにした講演会、研究会、座談会等の開催。
2、チャリティ・パーティ、チャリティ・サイン会等の開催。
3、「笑いの記念館」の建設、「笑いの森」植樹運動。
4、会報の発行。
5、各県に支部を開設。
6、世界の「笑い」関係団体との提携と交流をはかる。年会費、特別会費についても事こまやかに取り決めたが省略する。
代表発起人には八の字に因んだのと末広がりの意味をこめて八名の方に名を列ねていただいた。
福田赴夫(前総理)
瀬島龍三(伊藤忠商事・特別顧問)
池口恵観(高野山傅燈大阿闍梨)
永井友二郎(実地医家のための会世話人)
山下泰裕(柔道・金メダリスト)
佐渡嶽慶兼(元横綱・琴桜)
清川虹子(女優)
柳家小さん(落語協会会長・人間国宝)
平成8年3月1日現在で、賛助会員120名、一般会員420名、その後も毎月増加の一途を辿った。
帝国ホテル、京王プラザホテルをはじめ都内各地の会場でいろんなイベントを開催した。三遊亭金馬さん、黒柳徹子さん、歌手の瀬川瑛子さん、俳優の藤村俊二さんら、数えあげたら限りがない大勢の方々に応援していただいた。富山県での笑いの木植樹、西宮市での笑いのシンポジウム開催なども行った。そしてクライマックスは平成八年八月八日であった。恵比寿のガーデンプレイスの全施設を借り切って一大イベントを展開した。朝から晩まで実に大勢の人々に参加していただいた。運動を始めて以来「笑いの日制定」の署名を集め続けてきた。代表発起人の名のもとにそれら沢山の署名を持って総務庁を訪れた。担当者がいうには、先願がいくつもあり、7月の「海の日」が決まったばかりであり、8月は夏休みの時期でもありで、なんと鼻の先で笑われてしまったのである。
ところが後年、議員立法で8月に「山の日」が休日として制定された。
浅草四方八方噺(よもやまばなし)<第8回>松井天遊|月刊浅草ウェブ
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