「浅草散歩」を本誌に連載している原えつおさんも出展しているというので、江東区の森下文化センターを訪ねた。落席描き展でテーマは怪談。同文化センター内には「田河水泡・のらくろ館」もあり、その前の通りは「のらくろロード」となっている。田河水泡が28歳までご当地に住んでいたのが機縁となっているという。
NHK の朝ドラ「マー姉ちゃん」がBSで現在再放送されている。主人公は「サザエさん」の作者・長谷川町子。彼女は田河水泡邸に内弟子となっていたから、ご当地に住んでいたことがあるということになる。
筆者が子供の頃「のらくろ」を夢中になって読んでいたことを、昨日のことのように思い出すことができる。内容はすっかり忘れてしまっているのだが、身近な友達をはじめ日本中の子供たちが、むさぼり読んでいた漫画であるといえる。もう1つ「ぼうけん団吉」も懐かしい。
11月の木馬亭では、がんの生存率、コロナフレイルについて話した。
2005年ー2008年の4年間にがんに罹った人の10年生存率は58. 9%、5年生存率は68. 9%であった。約6割、7割である。部位別では前立腺がん9割以上、乳がん8割以上と良好だが、すい臓がん、肝臓がんはやはり低い。
筆者が約30年前、胃がんの第4期と診断されて切除手術(3分の2) を受けた時の5年生存率は2割であった。不治の病、がんイコール死といわれていた。8割には絶対入らないぞと覚悟(?)を決めたので、今日まで生きてこられた。勤めていた会社を辞めて、いがん退職といわれた。
コロナ禍が続いて、不要不急の外出は控える。3密は避ける、行政区域を超えての遠出はやめる等々、日常生活がかなり制限されてきた。心身の健康に変調が起こっても、おかしくはない状況である。フレイルは虚弱、たそがれの意味であり、健康と要介護状態の中間の時期にあたる。心や身体のー動きが低下してきている状態である。フレイルを放っておくと要介護状態へと進んでしまう。そこで適切な対策を講じて、元の元気な状態に戻すことが必要となってくる。
要介護・要支援の認定を受けていない人の10人に1人が、フレイルに該当すると推定されている。コロナによる自粛の前後で、フレイルの疑いがある人が1.6倍に増えたこともわかっている。
コロナフレイルを防ぐ4つのポイントがある。健康3 原則(栄養・運動・休養)に社会参加である。
栄養=1日3 度の食事はしっかり摂る。厚生労働省は1日30種類の食材を、と呼びかけている。主食、主菜、副菜、汁物とバランスのとれた栄養補給を心がける。蛋白質や野菜のおかずを意識して食べることで、筋力の維持、向上につながる。NHKの番組「ためして合点」では、朝食に蛋白質を20g 摂ることで筋力が増強されたという結果を、データとして明示していた。歯や歯茎の口腔内の健康状態を良好に保つこと、口の筋肉の衰えを防ぐことも大事である。
運動=外出を控えると身体活動の時間が減ってしまう。2 週間寝たきりでいると、7年分の筋力を失うというデータがある。今の生活から10分間多く体を動かすだけで、健康寿命を延ばすことができる。ウォーキング、ジョギング、山登り、水泳等に取り組んでいる人は、これからも続けること。庭で縄とびをしたり、部屋で腕立て伏せをしたり、電車に乗っていても、吊り革につかまって爪先立ちを数回試みるだけでも、骨や筋肉にいい刺激を与えることができる。体を動かすことは大切で、できることから始めて健康の維持に役立ててほしい。
休養=運動をしたあと、働いたあとの休養は大事である。睡眠も大切である。世界各国の平均睡眠時間をみると、8時間、9時間がざらにあるのに日本人は7時間ちよっとしか寝ていない。睡眠中に分泌される成長ホルモンは免疫力の強化に欠かせない。
社会参加1=社会とのつながりを失うことがフレイルヘの入口となってしまう。社会とのつながりが減少すると、生活範囲の縮小となり、心身機能の低下を招く。大切なのは、日常的な友人や仲間とのつながりを維持することである。孤独になるのは極力避ける。食事も必ず2人以上でする。自分に合ったつながりや活動で、心身の健康を保つよう意識してほしい。
浜までは海女も蓑着る時雨かな(芭蕉)
その昔、鳥羽水族館の館長さんにインタビューした際に聞いた話。海女の皆さんはご高齢になっても元気溌剌としている。とくに眼のいい人が多い。70歳80歳になっても眼鏡をかけない。もし眼鏡をかけている海女がいたら、もぐりだ。
(令和4年1月号掲載)