「柴田廣次(街の文化を作るプロデューサー)」 こやたの見たり聞いたり<第25回>月刊浅草ウェブ

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 「渋谷パルコ」といったら、最先端の若者文化やアートを提案・発信し、時代を牽引してきた言わずと知れた商業施設である。

根底には、街づくりや文化づくりといった広い視野のコンセプトがある。
消費社会の中に生きるのではなく、商品をアートやカルチャーといた側面から価値づけし、他とは違う唯一無二の商品として提案する。
渋谷パルコの存在が「若者の街・渋谷」を築いたと言っても過言ではない。

1973年の渋谷パルコの開業時に、渋谷パルコの前の通りを「渋谷公園通り」と名付けた。
「パルコ」という言葉がイタリア語で「公園」を意味していることに由来する。
一つの商業施設が道の名前を変えたのである。公園通りには、オフ・ブロードウェイのシンボル的な電話ボックスを設置し、シティーガールやシティーボーイたちが颯爽と歩く。
渋谷パルコに到着すれば、一階フロアの角には花屋さんがある。
人々はそこで花を買って劇場へ赴く。
同じく一階には、広いスペース のカフェがあり、劇場を訪れる人々はカフェで楽しく語らい合う。
そんな映画のワンシーンに出てきそうな素敵な日常をイメージさせる提案をする。

今回ご紹介するのは、そんなパルコ発展の一翼を担ったプロデューサー・柴田廣次(ひろつぐ)さんである。

柴田さんは、株式会社パルコの広告宣伝業務、美術や各種イベント企画、大分パルコや渋谷パルコの店長などを経て、グループ会社パルコ・シティ(現パルコデジタルマーケティング)の社長に就任した。
その後、三越伊勢丹ホールディングスでも要職を務め、現在は、様々なジャンルのプロフェッショナルたちを集めてLong Distance Love合同会社を立ち上げ、数多の企画をプロデュースしている。
そして、実は30年以上浅草に住んでいる浅草人でもある。

パルコ時代は、「パルコでしかできないことをやる」をモットーに、街づくり・文化づくりを推進し、独自の「パルコブランド」を築き上げてきた。

柴田さんが入社して間もないころに手がけた一人が坂本龍一氏の最初の本の出版イベントである。
早朝から渋谷パルコの外壁に、坂本氏本人が本の表紙を貼り続けた。
朝は通勤のサラリーマンたちがたくさん通るから、必然的に注目を集めた。
村上隆氏や日比野克彦氏もパルコギャラリー出身だ。
日本でグラフィックアートが周知されていなかった時代に「日本グラフィックアート展」を開催したり、「期待される若手写真家20人展」など、才能ある未だ無名なアーティストたちを取り上げたり、世界のトップアーティスト(キース・へリング、KAWS他)の作品を日本に持ってきたりと、独自のプロジェクトを積極的に企画した。
特定の人や物が人気だからパルコに人が集まるのではなく、パルコが提案する企画が面白いから人が集まるのだ。

柴田さんが大分パルコの店長に就任した時にも、柴田流の街づくり・文化づくりは発揮された。
おそらく大半の人々は、地方に住む人たちのニーズに寄り添ったやり方がいいように考えるだろう。
しかし、柴田さんは決して地元の人たちに合わせない。
柴田さんの言葉を引用すれば「全部が田舎のスーパーのようになってしまうからだ」という。
「渋谷よりも先にやってやろう」と柴田さんは海外で話題のイベント等をすぐに大分パルコに持ってきた。
東京から遠く離れた大分という土地に住む人たちに地方のプライドを持ってもらうことが重要だと考えた。
誰だってオシャレはしたいし、最先端のアートに触れるような刺激は欲しい。大分のファッションが変わり、人々の思考が変わる。

大分パルコを去った後も、大分との繋がりは深い。まもなく大分市に会員制サロンをオープンする。
最近では、イベントアーティストとのコラボレーションプロジェクトを企画している。
他にも多数のイベントが進行中とのこと。

柴田さんの方向性は、常に革新的であり、それでいて人々の未来を見据えている。
すでに確立しているものや、他でやっているものはやらない。
あくまでも自分だからできることに重点を置く。

「また柴田さんが新しいことをやるってよ。みんな集まろう!」それが柴田廣次ブランド。

時代が変わる潮目に立ち会えるかもしれない。


【記事の投稿者】
麻生子八咫(あそう こやた)

プロフィール 1985年生まれ。幼少期より父・麻生八咫の活弁の舞 台を見て育つ。 10歳の時に浅草木馬亭にて活弁士としてプロデ ビュー。2003年には第48回文部科学大臣杯全国青 年弁論大会にて最優秀賞である文部科学大臣杯を受 賞。2015年日本弁論連盟理事に就任。2016年麻生 八咫・子八咫の記念切手発売。2020年3月東京大学 大学院総合文化研究科博士課程を満期退学。 著作には、『映画ライブそれが人生』(高木書房、 2009)麻生八咫・子八咫共著がある。劇中活弁、方言活弁、舞台の演出・脚本、司会等、さまざまな舞台 活動を行う。英語公演にも力を入れており、海外で はアメリカ、カナダ、韓国などでの公演などがある。
月刊浅草副編集長

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