浅草四方八方噺(よもやまばなし)<第10回>松井天遊|月刊浅草ウェブ

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浅草の夏の風物詩の一つに「サンバカーニバル」がある。第35回のことしは8月27日に行われた。
サンバといえばブラジルのリオのカーニバルが本場。ことしはリオ五輪、パラリンピックが成功裡に開かれた。日本人選手の活躍もすばらしく、史上最多のメダル41個(金12、銀8、銅21)を獲得した。4年後は東京五輪である。さらなる活躍が期待される。

ブラジルの小咄。
首都のブラジリアのメインストリートが、水道管の破裂で大穴があいてしまった。片側4車線が1車線に狭まり大渋滞。運転している人は皆不機嫌な顔となっているが、大穴の側に立てられた看板の文字をみてニッコリしたり、苦笑したり。看板には「日本への近道」と書いてあった。

前回の東京オリンピックの際に作られた小咄。
記念の銀メダルが一個5千円で売り出された。買った人のメダルが日ならずして錆びてしまった。当時の5千円はかなり高価である。発売元へ文句をいいに行ったら、逆に慰められた。「オリンピックは参加(酸化)することに意義がある」。

厚生労働省がこのほど2015年の日本人の平均寿命を発表した。女性は87・05歳、男性80・79歳で、いずれも過去最高となった。2014年に比べて女性は0・22歳、男性は0・29歳延びた。厚労省は「治療や薬の進歩で主要な死因であるがんなどの死亡状況が改善され、病気になっても長生きできる人が増えた。今後も男女の寿命が延びることが期待される」としている。国別のベスト・ファイブは次のようである。

女性=①香港87・32②日本87・05③スペイン85・58④韓国85・50⑤スイス85・20。
男性=①香港81・24②アイスランドとスイス81・0④日本80・79⑤シンガポール80・40。

日本人の2人に1人ががんに罹り、3人に1人ががんで死亡する。しかもがんを告知された人の約3割がうつ的症状に陥る、というのが現状。「がん大国」といわれる所以である。しかし厚労省が指摘しているように、がんの新薬が相次いで登場するなど、治療法も進歩してきている。そこでがん治療の現状と将来についてみてみよう。

がんによる死亡者数の推移は、ここ20年間右肩上がりで増えている。一方でがんを克服している人も少なくない。助かる人とそうでない人の違いは何か。大きな要因の一つは、がんの種類である。がんはまとまりのよい局所のがん(限局)と、周辺に散らばりやすい性質の飛び散るがん(分散)の二つに分けられる、と石井光医学博士は指摘する。

局所のがんとは、具体的には「発症した部位だけに固まっているがん」のことを指し、早期がんのほとんどはこのタイプである。保険診療の範囲内で、手術や放射線治療でがん細胞を根こそぎ取り去ることが可能である。とくに食道、胃、大腸など消化器の臓器にできる早期がんは、内視鏡や手術で周辺粘膜ごと取るだけで治る可能性が高い。その後に転移が見つかるのは非常に低い確率で、局所がんは助かる確率はかなり高いといえる。

厄介なのは「飛び散るがん」。多くは進行がんに見られるもので「発症した部位以外のところにも、がん細胞が侵食した状態のがん」を指す。がん細胞がリンパ液や血液に乗って全身に散らばってしまうと、腫瘍を取るだけで治すのは困難となる。散らばったがん細胞を根絶しなければ、いつまたどこの部位で腫瘍を作ることになるか分らない。治療法は抗がん剤の使用である。その仕組みは、分裂中の細胞のDNAに取りついて、細胞の複製を妨げるというものである。これにより異常な分裂を繰り返すがん細胞を叩くことができるわけだが、一方で正常細胞にもダメージを与えてしまうという欠点(副作用)が現われてしまう。

「木を見て森を見ず」という言葉がある。これを医療の現場にあてはめると「病気をみて病人をみず」となる。県立静岡がんセンターの山口建総長はこの点に注目し「がんの社会学」という研究を始めた。がん患者や家族の悩みに注目したのである。そして①診療上の悩み②身体上の苦痛③心の苦悩④暮らしの負担の四つの柱に分類した。

診療上の悩み=病院選択・信頼関係。インフォームド・コンセント。セカンド・オピニオン、理解不足。
身体の苦痛=痛み、症状、合併症、副作用、後遺症。
心の苦悩=不安・恐怖、うつ・孤独感、生き方・人生の意味。
暮らしの負担=家計、仕事、家庭、人間関係、社会復帰。

このほどがんと診断され、治療を受けた人の10年生存率が初めて公表された。全てのがんの平均は58・2%、10人に6人弱であった。

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