「林家正雀」少年時代のラジオ落語が原点!彦六師匠仕込みの『芝居噺』の継承者<第11回>まい子のぶらり散歩|月刊浅草ウェブ

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転機が訪れたのは、大学2年生の時。林家彦六師匠の芝居噺を観て、大きなカルチャーショックを受けたことがきっかけでした。
「芝居噺」とは、役者の声色や鳴り物が入り、時には大道具・小道具も用いながら芝居のように演じる場面を持つ落語のこと。彦六師匠は、人情噺や怪談噺、そしてこの芝居噺の名人として名を馳せた方です。
“子供の頃から落語も芝居も大好きだった自分にとって、これ以上魅力的で、ぴったりな道は他にない!”
幼い頃からの漠然とした憧れが、はっきりと輪郭を成した瞬間でした。これを機に落語家になる決意を固め、大学卒業後、晴れて入門を果たしたのです。

昭和49年 林家彦六(当時は8代目・林家正蔵)師匠に入門。前座名は「茂蔵」、後に「繁蔵」と改名。昭和53年 二つ目昇進。「正雀」と改名。昭和58年 真打昇進。

そして現在、師匠の噺を継承すると同時に、郷土の民話や史実などを題材とした噺の創作、落語家が集まって演ずる「鹿噺」、全国各地での精力的な口演…と、多岐に渡るご活躍ぶり。落語家として、今まさに充実の時を迎えています。

多彩な日本の伝統芸能の競演で毎年好評を博している「上野不忍華舞台」では、演目に芝居噺「男の花道」を選びました。前座時代に講談として聴き、感銘を受けて以来長く心に温め続け、後年落語に仕立て直したという大変思い入れの深い作品です。歌舞伎役者の3代目歌右衛門と道中彼を助けた眼科医との友情を描いたこの噺の見どころは、歌右衛門が舞台に穴を空けてでも恩人の一大事に駆けつけたいと客に乞う場面。鳴り物が入り、芝居仕立てとなるクライマックスシーンでは、あたかも歌右衛門が演じている江戸時代の芝居小屋に居るような感覚を味わっていただけるのが、この演目の醍醐味です。

一つ一つの質問に、真摯に応えて下さった正雀師匠。風格漂う凛とした佇まいの奥からときどき顔を出す、無邪気で本当に楽しそうな笑顔から、落語を心底愛していらっしゃるのだなぁ、ということがひしひしと伝わってきて、一瞬、ラジオに胸躍らせていた落語少年が目の前にひょっこり現れたような、不思議な錯覚に陥ったのでした。

(「月刊浅草」編集人 高橋まい子)

公式サイト「雀の御宿」http://shoohachi.hpmk.net/

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