あさくさ交遊録<第6回>稲川實|月刊浅草ウェブ

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吉村先生の3冊目の本は『浅草のみだおれ』で、平成9年(1997年)三一書房から出版されている。装丁 久保志子、イラスト 久世アキ子、写真 立木寛彦となかなか贅沢な本である。
イラストの久世アキ子さんは、吉村先生絡みの古くからの友人で、毎年行われている「平さん忌」の、豪徳寺墓参の世話人代表である。天下に轟く愛猫家としても知られるが、つい先 、念願のネコ愛に溢れたアート絵本『キャット・ストリート』 アートダイジェスト を上梓し、目下東奔西走しているので、そちらの方もぜひお目 しを。さて『浅草のみだおれ』の帯は、酒友で 友  湯好き の田中小実昌さんが推薦文を書いている。
「ぼくたちは文学青年でも演劇青年でもなかった。ヘイさん先輩はレヴュー青年、ぼくはすこしおくれたストリップ青年、先輩は娼婦たちにも慕われた。」とある。短い文章ながら、ご両人の 係が語り尽くされていて、まことに事な推薦文である。

>次ページ「残念無念の感慨がわたしにはひとしおだった。」

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