「再演に向けて」心と表現<第21回>熊澤南水|月刊浅草ウェブ

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年齢(とし)を重ねるに従って、一年の過ぎるのが殊更早く感じられ、まるで何かに追い掛けられているような気さえする。去年の今頃は……? と振り返って見ると、崖っ淵に立つ覚悟で挑戦した新作「お吟さま」を覚えるのに必死だった。夢にも見、魘(うな)される程追い込まれていたのである。
〝これが最後!〟と思い、20年の月日を掛けて目標に掲げていた、文化庁の芸術祭参加の認可も下りていた。
〝やるっきゃない!〟
そんな思いで幕を開けた公演は、しかし、大成功だった。
そして、年末に発表された芸術祭で大衆芸能部門の「優秀賞」を頂戴したのである。
平成8年銀座博品館劇場での、「にごりえ」で初参加以来20年の歳月が過ぎ、7回目の挑戦でようやく悲願達成であった。朗読のイロハを学び始めて35年、〝たかが朗読〟と言われていた分野を、芸術の域にまで引き上げる事が出来たのである。
「おめでとう!」、「おめでとう!」
これまでずっと支え続けてくれた多くの人達から、温かいことばを貰って〝辞めずに頑張って来て本当に良かった!〟と心から思ったものである。
「盛大にお祝いのパーティーをしましょう」各方面から届いた声に、
「それはとても嬉しいけれど、私はもう一度あの〝お吟さま〟を観て頂きたいの。去年の舞台はいっぱいいっぱいだった私でしたが、今年は少しゆとりを持って、成長した〝お吟さま〟を観て頂けると思いますので……」
そして、平成29年10月16日㈪、17日㈫の両日、会場も同じカメリアホールでの開演が決まったのである。

>次ページ「一人でも多くの方に「お吟さま」の語りを聴いて頂こう

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