
麻生子八咫
大阪万博2025に行ってきた!
いよいよ開幕した大阪万博。メディアでは連日、賛否両論の声が飛び交っているが、百聞は一見にしかず。どうしても自分の目で確かめたくて、開幕4日目の4月16日に行ってきた。今回は、私の万博体験を紹介したい。入場は思いのほかスムーズで、手荷物検査も滞りなく終了。入場すると出迎えてくれるのが、大阪万博の象徴「大屋根リング」と呼ばれる世界最大の木造建築だ。日本の伝統技法と現代建築の融合が美しい。改めて日本を誇らしく思えた。
今回の万博は、世界157の国と地域、そして7つの国際機関が参加しているという。私は朝10時〜夜10時まで滞在したが、合計15ヶ所のパビリオンを巡ることができた。一つ一つの情報量が多いので、かなりたくさん回れた方だと思う。
大阪万博2025のメインテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」である。少し抽象的で「ありきたりになるのでは?」と危惧もしていたが、各国が独自の観点でこのテーマに挑んでいて、非常に興味深かった。
例えば、イタリア館は素晴らしかった。イタリアは言わずと知れた芸術の国で、世界遺産の登録件数は世界で一番多い。レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ボッティチェリ…芸術家を挙げればキリがない。そんなイタリアは、「芸術は世界を再生する」という独自の観点でいのちのテーマに切り込んでいた。巨匠カラヴァッジョの《キリストの埋葬》、古代ローマの彫像「ファルネーゼのアトラス」は、日本に持ってきてくれたことに心から感謝する。時代や国境を超えて、今、日本で見られる幸せたるや!芸術のイメージの強いイタリアだが、展示の手法で高いテクノロジーもPRする。
今回の万博で、私が一番「欲しい!」と思ったのは、自律走行する荷物運搬ロボット「GITA plus」。私のように重たいキャリーケースと日々格闘している人間にとっては夢のようなアイテムだ。最大18キロの荷物が、自動で後ろから追従してくれる。しかも、見た目が可愛い。ぜひとも欲しいが、まだ商品化には課題もあるのだろう。近い将来、これが日常に溶け込む日が来てほしいと心から願った。
日本のシグニチャーパビリオンでは、石黒浩氏による「いのちの未来」に刺激を受けた。50年後の未来、アンドロイドと共に生きる社会の一場面を、祖母と孫のドラマ仕立てで描き出した。「おじいちゃんの体にも半分機械が入っているよ。おじいちゃんはアンドロイドなの?」…そんな子どもの問いに、胸がざわざわする。テクノロジーを社会に浸透させるには、まず人々の心の壁を乗り越えねばならない。我々の感情に寄り添うために、「物語」の力、芸能の影響力を再認識した。そしてクライマックスのショー。生身ではない身体性をもつアンドロイドの美しさ、迫力に衝撃を受けた。
さて、よく話題に上がる「物価が高い」問題。正直、浅草だって高い。今や観光地はインバウンド価格が標準だ。万博内もピンキリで、選択肢が多いのはむしろ魅力だと感じた。せっかくなので話題の「神戸牛すき焼きえきそば」(3850円)を食べてみた。期待以上の美味しさで大満足。美味しいものを食べると心も体も癒される。
知らない人たちとの出会いも、万博の醍醐味だ。各国のスタッフがいて、日本語で案内してくれるので、おしゃべりも楽しっむことができた。サウジアラビア館のお土産ショップで出会った日本人女性は、現地の大学に1年留学していたそうで、「この漫画、サウジでは知らない人がいないくらい人気なんですよ」と、サウジの漫画家さんが書いた漫画本を紹介してくれて、日本語とアラビア語でのオノマトペの違いも教えてもらった。
また、関西館のそばでは各市町村のPRブースが出ており、高取町の兜や明日香村の衣装を無料で試着でき、写真撮影ができる。おまけにプレゼントまでいただいた。宇陀市のブースでは「当帰(とうき)」の飴(350円)を購入し、初めての味にびっくり。セロリのような、どこか薬膳的な、クセになる味だった。国内外問わず、新発見がいっぱいだ。
あっという間の1日。気づけば頭の中は新しいアイデアでいっぱい。よくぞここまで準備して開幕まで漕ぎ着けたと、関係者の皆さんに拍手を送りたい。ぜひ多くの方に足を運んでほしいと思う。