【人と地域を繋ぐ縁の下の力持ち「コーディネーター担当」】こやたの見たり聞いたり<第19回>月刊浅草ウェブ

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いつの時代も、人は大なり小なり悩みを抱えて生きている。小さな悩みでも、一人でずっと抱えてしまうことによって大きな問題につながる場合もある。人の悩みは広範囲で、時代に応じて変化もするから、既存の支援制度では不十分な場合がある。今回は、福祉に関する困りごとに耳を傾け、人と地域を繋げる手助けをする台東区社会福祉協議会の「コーディネーター担当」についてご紹介したい。

台東区社会福祉協議会は、台東区の地域福祉を推進することを目的とした民間の組織団体である。その中でも「コーディネーター担当」は、地域の人々が、それぞれ支え合って安心して生活できるようにサポートをする窓口である。あくまでも住民が主体となることが大切で、「コーディネーター担当」は人と地域を繋げてバックアップをする。行政は街の人たちの悩みを網羅しているわけではないから、この窓口は、今現実に起こっている街の困りごとを、専門知識のある職員が知るという役割も担っている。

今回取材に応じてくれたのは、「コーディネーター担当」の渡辺さんと松永さんだ。二人にこの仕事に就いたきっかけを尋ねてみたら、渡辺さんは、家族に障害者がいたので、小さい頃から福祉が身近にあったという。就職氷河期の中で悩んでいた時に、母から「話すことが好きだし、面倒見もいいし、福祉の仕事が合っているんじゃない?」と勧められた。一方、松永さんは、障害者とは無縁に生きてきたが、大学時代に障害のある子どもたちと遊ぶサークルに入ったことがきっかけとなった。二人は同期入社だそうで、息ぴったりだ。膨大な人々の相談を受けて疲弊しているかと思いきや、積極的に東京都美術館や東京芸大の先生方に相談に行って、何かできることはないかと模索する。前向きで意欲的な姿勢に、私はとても元気をもらった。まさに台東区の縁の下の力持ち。

住民から寄せられる生活の困りごとの中には、昔からの住民と新しい住民の交流不足、飼い主が長期入院してしまったペットの行く末、ハトやカラスに餌をあげる住民のご近所トラブル、外国人オーナーのマンション住人が抱える防災への取り組みなど、実にさまざまである。
人に相談しづらいことから把握が難しい問題の一つとして、80代の親が50代の引きこもりの子どもの生活を支える「8050問題」がある。親が本来受けられるはずの介護支援金が子どもの生活費に当てられ、それは親が亡くなったあとの生活困難に直結している。「コーディネーター担当」は、相談に来た当事者の方々と話し合いを重ねる中で、地域の同じ悩みを共有する「家族会」を求める声が上がり、その立ち上げをサポートした。台東区は寺社仏閣の多い地域でもあるから、区内のお寺が寄り合いの場所となった。

アートを通じた福祉プロジェクトとして、台東区内の障害者たちが描いたアート作品をプリントしたTシャツ販売がある。障害者の方々が社会と関わるきっかけになり、購入者も地域に関わるきっかけとなる。デザインは、ポップで元気が出るものばかりなので、ぜひ一度オンラインショップを覗いてみてほしい。

困っていることがあるけれど、どこに相談したらいいか分からない人、ボランティアをしてみたい人、地域の人と繋がりたい人、まずは台東区社会福祉協議会の「コーディネーター担当」窓口に相談してみてはいかがだろうか。人生を楽しくするヒントが見つかるかもしれない。

記事の投稿者
麻生子八咫(あそう こやた)

プロフィール 1985年生まれ。幼少期より父・麻生八咫の活弁の舞 台を見て育つ。 10歳の時に浅草木馬亭にて活弁士としてプロデ ビュー。2003年には第48回文部科学大臣杯全国青 年弁論大会にて最優秀賞である文部科学大臣杯を受 賞。2015年日本弁論連盟理事に就任。2016年麻生 八咫・子八咫の記念切手発売。2020年3月東京大学 大学院総合文化研究科博士課程を満期退学。 著作には、『映画ライブそれが人生』(高木書房、 2009)麻生八咫・子八咫共著がある。劇中活弁、方言活弁、舞台の演出・脚本、司会等、さまざまな舞台 活動を行う。英語公演にも力を入れており、海外で はアメリカ、カナダ、韓国などでの公演などがある。
月刊浅草副編集長

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