浅草のお正月行事の一つに「聖天さまの大根まつり」がある。7日午前11時半〜午後1時半、待乳山聖天境内参道で毎年行われており、大勢の参詣者が訪れる。最初に行われたのは昭和49年(1974年)というから歴史がある。由来は次のように書かれている。
大根は清浄、淡白な味わいのある食物として凡ての人に好まれ、しかも体内の毒素を中和して消化を助ける働きがあるところから、聖天さまのお働きをあらわすものとして尊ばれ、聖天さまのご供養に欠かせないお供物とされています。私たちは、そのお下りを頂くことによって、聖天さまのお徳をそっくり頂戴し、身体と心の健康を得ることができます(中略)。元旦以来お供えした大根をフロふきに調理、お神酒と共に参詣者に食べてもらう。品切れの際はお土産大根で聖天さまのお福を持って帰 ってもらう。
四季を通じて栽培される大根だが、昔は「大根の年取り」「大根の年越し」と呼ばれた日があったという。その土地ではこの日が過ぎてから秋大根を収穫した。野菜の中でも特別の霊力が秋大根の中には宿っていたと信じられていた。
ひるがえって現代、コンビニでのおでんの具の人気ランキングの一位は、常に大根であるという。
小林一茶の句がある。
大根引き大根で道を教えけり
江戸時代のどことなくのどかな田園風景が思い浮かんでくる。これが川柳となると、思わずニヤリとしてしまう。
ひんぬいた大根で道を教えられ