「台東区立産業研修センター」“浅草ものづくり工房(モノコボ)”で皮革産業の復活にチャレンジ!<第23回>まい子のぶらり散歩。

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第23回「台東区立産業研修センター ~浅草ものづくり工房~」

とりどりの服に身を包み、浅草の街を颯爽と行き交う人々のファッションを観察するのも、楽しみのひとつ。ぱっと目を引くお洒落さんは、靴やバッグなどの小物類に、ひときわ気を遣っているものです。
 
ところで皆さん、台東区が全国有数の規模を誇る皮革産業の街だということをご存じでしょうか?その歴史は大変古く、江戸時代中期にまで遡ります。今回訪れたのは、「台東区立産業研修センター」。地元産業支援への取組みや、近年特に力を注いでいる「浅草ものづくり工房」のことなど、様々なお話を伺い、勉強させて頂きました。 
 
昭和56年、中小企業の振興と勤労者の福祉向上を目的に開設された同センター。活動施設の提供や就業・教養関連の講座、教室などの開催を通して親しまれる地域密着型の施設です。
バラエティに富んだ教室の中でも特に人気が高いのは、やはり革工芸教室。奥浅草と呼ばれるこの界隈は、古くから靴を中心とした皮革製品関連のメーカーや問屋が密集する地区。地元っ子の意識の中には、革への親しみが自ずと息づいているのでしょう。そして、安かろう・悪かろうの使い捨てのニセモノよりも、愛着を持って永く使える、手の掛かったホンモノの良さを伝えたいという想いも。地域一丸となってメイドイン奥浅草の優れた革製品の魅力をアピールし、街おこしと同時に台東区全体の活性化に繋げようという声が上がったのは、ごく自然の流れでした。 

>次ページ「かつての魅力的な浅草の復活を願い、全力応援いたします!」

そんな中、平成21年に誕生したのが、「浅草ものづくり工房」(愛称:モノコボ)。台東区の地場産業であるファッション関連(靴、鞄、ベルト、アクセサリー等)のものづくり分野で起業し、将来的に区内で事業を継続させる意思のある個人(または創業5年以内の法人)のための創業支援施設です。
センター敷地内に建つ3階建ての施設は、24時間使用可能なアトリエ(全9室)と、ミシン室、機械室、交流サロンなどの共有部分から成り、入居者たちが互いに刺激を受けつつ、それぞれの仕事や勉強に励んでいます。
ものづくりを職業として成功させるのは、本当に難しいこと。憧れだけでは成り立たない大変厳しい世界です。モノコボでは、入居者に製作力のみならず、一企業として独立出来るビジネス力を身に着けてもらうべく、地元企業とのパイプを活かした経営面での指導・支援も行っています。
「何よりもまずは、『浅草ものづくり工房』がここにあるってことを知ってもらわないと(笑)!入居者が溢れるくらいになって、将来的には一人でも多くの卒業生が立派なものづくり事業者として成功し、台東区の一助になって頂けるよう、「モノコボ」を盛り上げてゆきたいと思いますので、応援よろしくお願いします。」と三田所長。毎秋開催される施設公開も、作品の販売や製作実演、アトリエ見学、セミナーなど盛り沢山の内容で大盛況です。

生活の中に溶け込む革の歴史や魅力を伝え、地場産業への意識を高めてもらうことも、大切な仕事。
併設の「皮革産業資料館」には江戸時代から現代に至るまでの歴史的資料や、栄光に輝いたスポーツ選手の道具類などが展示され、貴重な情報提供の場となっています。
小学校の先生への技術指導を通じ、授業に革工芸を取り入れてもらうという新たな試みも始まりました。子供たちは革小物づくりの楽しさにあっという間に魅了され、自分たちの作った物が大切にすれば100年先も使えることを知ると、きらきらと目を輝かせて喜ぶのだそうです。そんなちびっ子たちの中から未来のモノコボ生が誕生し、いつか台東区のものづくりを大きくはばたかせてくれると良いですね。

台東区立産業研修センターの挑戦は、始まったばかり。「モノコボ」の進化に期待を寄せつつ、わざわざ足を運んでまでも手に入れたいホンモノが溢れていた街、かつての魅力的な浅草の復活を願い、全力応援いたします!

(「月刊浅草」編集人 高橋まい子)

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