「浅草うな鐵」鰻をもっと気軽に、どなたにも!本格派ながら工夫溢れる名店<第13回>まい子のぶらり散歩|月刊浅草ウェブ

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国際通り店からスタートしたうな鐡ですが、平成25年、東武浅草駅前に本店を出店。時代のニーズに合わせてのことでした。和と洋が調和したモダンなインテリアは女性にも入り易いと好評。隅田川とスカイツリーを臨む眺望が素晴らしい2階席は団体様にも対応できるよう可動性を重視するなど、きめ細かな配慮がなされています。
お客様を大切にするように、社員たちの人生もまた大切にしたい。『割き五年、串打ち三年、焼き一生』と言われる厳しい世界、若き職人たちに活躍の場を与えることが出来たのも、本店出店の大きな意義となりました。

ニホンウナギは昨年、国際自然保護連合の絶滅危惧種に指定され、近い将来ワシントン条約の規制対象になるか否かの瀬戸際に立たされています。稚魚の激減・価格高騰の背景にあるのは、長年にわたる乱獲。このままでは日本の素晴らしい伝統食・鰻文化を護ってゆくことは出来ません。
「鰻だけに留まらず、自然環境全体を真剣に考える時期に来ているんです。こういった問題に直面し、我々が危機感を持つようになって、かえって良かったのだと思います。今ならまだ、引き返せますから。」と、小林さん。
残念ながら現在の状況では値が張ってしまうことは避けられませんが、貴重な鰻の命を職人が手塩にかけ、お客さまに「本物」を提供すること。スーパーで大量安価に消費される品との違いを実感してもらうこと。それが有限の天然資源である鰻を護り、巡り巡って将来の値下がり・価格安定に繋がることを、この機会に知っていただければ幸いです。

ユニフォーム姿の小林さんの名札には、〈オヤジ〉と記されています。広く視野を持ち、良循環を作ろうと奮闘する姿はまさに父親的で、オヤジというあったかい呼び名が本当にぴったりだなぁと、微笑ましい気持ちになりました。

(「月刊浅草」編集人 高橋まい子)

※掲載写真の無断使用を固く禁じます。

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