今回、本稿に原えつおさんが描く「あゝ新撰組」を熱唱する平野さんの絵を掲載させていただいた。鉢金(防具)の付いた鉢巻きを締め、刀とマイクを手にした姿が懐かしい。さらに、絵の背景をよく見ると「沢正」の暖簾が店内に入っている。「(歌の)途中で誰か来ると困る」「今日はもう閉店、ハハハ!」と、内側から鍵までかけるのも珍しいことではなかった。
歌い終えると(鍵を開けて)グラスを傾けながら、幕末の出来事や人物、土方が手挟んだ和泉守兼定(いずみのかみかねさだ)や近藤の虎徹など刀について、また歴代の時代劇俳優の思い出など話題が尽きなかった。
「土方さんにはお世話になっているし、いつか函館へ行きませんか。足跡を訪ね、湯の川温泉に泊まって飲みましょう」と誘ってくださった計画は、ついに果たせなかった。後日、この話を知人にしたところ「土方さん、知り合いですか?」と返され、なるほど言われてみればその通りだと思った。
(文:袴田京二、画:原えつお)
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