「芸人を身近に感じることのできる浅草東洋館で「漫才」を満喫しよう」<第45回>浅草六区芸能伝|月刊浅草ウェブ

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月刊浅草_東洋館

芸能の聖地・浅草

浅草は、言わずと知れた芸能の街です。落語、講談、浪曲、演劇、芸者や歌舞伎…さまざまな芸能者たちが浅草で芸を磨いています。
歩いていると、当たり前のように芸人さんたちを見かけることができるのが浅草という街です。
今回は、年中無休で漫才が聴ける劇場「浅草東洋館」をご紹介しましょう。

浅草東洋館とその歴史

浅草東洋館は、漫才を中心とした「いろもの寄席」で、場所は浅草演芸ホールと同じ建物の4階にあります。

つくばエクスプレスの「浅草」駅を利用すると徒歩30秒で到着できます。
「いろもの」とは、落語を中心とした寄席で落語以外の演芸を指す言葉として使われていますが、東洋館では漫才を中心に、漫談、コント、マジック、紙切り、曲芸、ものまね、など多種多様な演芸を見ることのできます。

東洋館はその昔「浅草フランス座」というストリップ劇場でした。
ちなみにこの「フランス座」という名前は、「世界的なエンターテイメントの聖地となるように」と文豪・永井荷風が名付けました。
美しいストリップショーと、幕間にお客を笑わせる軽演劇が大変な評判だったそうです。

ビートたけしさん、深見千三郎さん、関敬六さん、渥美清さん、萩本欽一さんなど
錚々たる面々を生み出してきた、まさに笑いの殿堂です。井上ひさしさんもフランス座時代に座付き作家として、フランス座の軽演劇を支えていました。

いざ入場

「東洋館」という看板のある入り口から中に入ると、すぐに「切符売場」があります。
金額は※大人2500円、学生2000円、子ども1000円(特別興行は各500円増し)。切符を購入したら、人生で一度は乗ってみて欲しいのが浅草東洋館名物のエレベーターです。
かつて、ビートたけしさんがエレベーターボーイとして雇われ、タップダンスを練習したという伝説のエレベーターです。現在エレベーターボーイはおりませんが、こんな小さなエレベーターにボーイがいたのか!と驚きの空間です。
4階に到着し、エレベーターを降りて、数段の階段を上がると、切符を切るスタッフがいて、左手に売店もあります。実はこの東洋館のもう一つの名物は、「東羊羹(とうようかん)」というおみくじ付きの羊羹(1個150円)です。大吉が出たら、なんと東洋館の入場券がいただけるという豪華景品付きです。他にも、客席で食べられる軽食、出演者や松倉会長の本やCD、限定Tシャツなども販売しています。私は、青空球児・好児師匠のTシャツを買わずに帰ってしまったことをとても後悔しているので、近々買いに行きます。皆さんもどうぞお見逃しなく。

※2024年3月の価格

漫才の魅力

漫才は、基本的に二人一組で、話をしながら笑いをとる話芸です。
多くの場合、ボケとツッコミに分かれ、話の内容だけでなく、言葉遣いや間の取り方、身振り手振りなどさまざまな要素で笑いの世界に観客を巻き込んでいきます。
漫才コンビも色々あるようで、友達同士、兄弟、夫婦、養成所、中にはどこで知り合ったのだろう?という年の差コンビもいる。落語は古典が主流だが、漫才は芸人それぞれがネタを考えるから、話題も身近なものが多いのが特徴です。

ライブの魅力

テレビやインターネット上でも気軽に演芸を見られる時代になりましたが、それでもライブの面白さや劇場の空気感は全くの別物です。
生身の人間が目の前にいるという迫力、伝わってくる熱量、そして何よりも舞台と客席の一体感は、ライブでしか体感できない魅力だと思います。芸人さんたちが直接観客に話しかけてくることもしばしばで、特にアドリブ満載の芸風が多い「いろもの寄席」ならではです。
私が訪れた日も、突然お客さんの携帯電話が鳴って、それに芸人さんがツッコミを入れている間に、別の人の携帯電話が鳴るなんてコントのような状況が起きて大爆笑。
また、ついさっき起きた強盗ニュースが話題に飛び出したと思ったら、すかさずお客さんがネットニュースをチェックして、「その事件は解決されました」と伝える…。そんな文字通り演者と客席が一体となる空気がたまらなく面白い。テレビやインターネットでは発言できないような話題も遠慮なく飛び出すので、東洋館でしか見聞きできないことがいっぱいあります。
出演者は毎日違いますが、1日の寄席で20人以上の芸人さんが登場するのだから、お気に入りの芸人さんは必ず見つかります。
また、いわゆる一般的な興行と違うのは、開演時間にこだわらず、フラっと好きな時間に立ち寄って、好きなだけ観て、またフラっと出て行ける気軽さが、寄席の魅力の一つです。

運が良ければ芸人さんとも会えるかも?

帰り際、その日トリを務めていた漫才師ロケット団の三浦昌朗(まさあき)さんが出ていらっしゃって、一度その場を通り過ぎたものの、「写真をお願いしたら迷惑かな…」と緊張しながら、戻って聞いてみたら、快く「いいですよ」とおっしゃってくださって、雨の日の一瞬の交流でしたが、家に帰るまでずっと心臓がバクバクしていました。勇気を出してよかった…。一生の思い出を得ました。ありがとうございました。そして改めて、浅草は芸人さんを身近に感じることができる街だなと感じました。

必見!漫才きょうかいのドキュメンタリー映画が公開

2024年3月1日、漫才協会会長のナイツ塙宣之さんが監督を務める映画『漫才協会THE MOVIE〜舞台上の懲りない面々』が公開され、観に行ってきました。
見慣れた東洋館の劇場からスタートし、漫才協会とはなんぞや?という紹介を起点としながらも、そこで奮闘する芸人たちの生き様を描いています。普段垣間見ることのできない師弟関係を垣間見たり、個性的な芸人さんたちの飾らない舞台裏を拝見すると、こんな劇的な人生を送っている人もいるのか、と衝撃を受けることもしばしば。泥臭く生きる人間って大変だろうけど、同時にとても素敵だなと思いました。また、まだ観ていない方もいらっしゃると思うのでネタバレは控えますが、生きているのが辛いなと感じている人や、普段「常識」の枠組みの中で生きている人でも、この映画を見ると世界観が広がったり元気をもらえたりする映画だと思います。観終わった後、まず頭に浮かんだことは「また近々東洋館に行きたいな」ということ。

個性的、常識はずれ、いいじゃない!一度きりの人生だもの。そんな芸人さんたちを観に、ぜひ東洋館にお立ち寄りください。

(取材/記事:麻生子八咫)

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東洋館〜浅草フランス座劇場〜

歴史あるフランス座(ふらんすざ)の名前でも有名な東洋館。正式名称は「浅草フランス座演芸場東洋館」です。
現在はいろもの(漫才、漫談など)を中心とした演芸場。建物を同じくする姉妹館・浅草演芸ホール(落語中心の寄席)とともに、歴史ある浅草お笑い文化の一角を担う存在と自負しています。「浅草フランス座」以来の伝統を受け継ぎつつ、新しい「お笑いの発信基地」でもある当劇場へのご来場を心よりお待ち申し上げております。
浅草観光の際には是非ご利用ください。


東洋館〜浅草フランス座劇場〜公式ページ